ただいま、世界的に蔓延している感染症「コロナウイルス」により私ども、飲食店特に、夜のお酒を提供しているお店は大打撃を受けております。
実際私の仲間のお店も多数閉店に追い込まれている先行きの見えない不安があります。そういうお話を聞くたびに、他人ごとでは片づけられないし、明日には自社もどうなるのだろうと不安に感じる毎日でした。一番はこの感染症の終息が見えないということが、不安をあおっていたかと思います。
その中で、当店、「居酒屋しのや」は4月7日、7都府県に初めて「緊急事態宣言」が出た、翌日から休業をすることを決めました。理由は、まさに緊急事態宣言の出た当日に東京からのお客様がご来店いただき、スタッフの中でかなりの動揺が見て取れたためです。実際にスタッフの声として、「お客様を迎え入れたいという気持ちと同時に、もし万が一、お店で感染症をお持ちのお客様がご来店したらと考えると怖い」という声が上がりました。私は、この時スタッフ、お客様の安全が担保できなければ、良いサービス仕事を遂行することができないと考え、翌日より休業としました。
そして、そこから私は会社存続のために削れる経費の精査をしたり、キャッシュフローを確認し、いつまで持ちこたえることが可能なのか、追加融資の検討等、考えることはたくさんありました。その中で、スタッフ、そしてスタッフの家族まで考えると弱音は吐けませんでしたが、重くプレッシャーとしてのしかかってきました。
そんな中1週間が過ぎ、スタッフを集めて今後の対策を話し合いました。その際いつも元気なスタッフ達がいつもより心なしか元気がなかったことを覚えています。弊社取締役泉田とも毎日のように金銭の話をし、スタッフや家族を守る体制を話し、スタッフの給与は最低でも8割は支給することを決めました。
そこで、スタッフ達も何もせずに給与をもらうのも嫌だということで、様々な研修を行いました。外部講師を招いて、心持ちや、仕事をなぜするのかという研修や、農家さんに出向いて農作業を体験させていただき、苦労やこだわりをお伺いしたり、生け花を活けて見る人(消費者)の立場で活けることの大切さを学んだりと多岐に渡り研修を行いました。
その中で、休業1週間たったころの元気のない顔はどこにいったのかと思うくらい活き活きとした表情でスタッフ達から、あれもやりたい、これもやりたいということがどんどんアイディアとして出てまいりました。
私が、このコロナ騒動の中で一番心が救われ、感動した瞬間でした。こんな社会が大変な時に、会社の存続や自分たちの給与を守るという考え方ではなく、こんな時だからこそ自社経営資源で社会の皆様の役に立てることは何だろう?と皆が積極的にアイディアを出して行動してくれたのです。
その中で、新商品の立案、メニュー表記の変更、お弁当事業、おつまみテイクアウト事業、惣菜加工業事業(通販)、野菜販売事業等飲食店としてしか今まで、事業展開をしてこなかった弊社としても幅が広がりました。
そんな中生まれた商品「伊達鶏もも一枚焼き天明大吟醸酒粕漬け焼」です。この商品は、日ごろからお世話になっている酒蔵さんの酒粕を使用し、その酒粕の酵素のチカラによりたんぱく質を分解し肉質を柔らかく、そして大吟醸と炭火の香りが食欲を増進します。
特に野菜販売事業は、コロナのこの状況がなければ、始めようとしなかった事業でした。元々は昨年9月ごろより始まり、飲食店のみへの卸事業でありました。しかし、コロナ禍における飲食店は営業すること自体もかなわぬ事態となりました。その中で、飲食店や、学校給食などに食材を卸していた農家さんは、販路が少なくなり、困っていました。そして、自粛要請されている方々は、家で料理をする機会が増えていることが、報じられていました。そこで、弊社の野菜流通事業で、消費者の方々と、農家さんを直接つなぐ事業として、販売をしてはどうかと考えました。利点が3つあります。
1つ目は、朝採れの野菜をお渡しできるので、新鮮なため日持ちがとてもすること。一般的な小売店などで並んでる野菜は、収穫してから3日~4日程経っていることがほとんどです。しかし、私どもは、朝採れたものをお渡しするので、1週間くらい日持ちがします。
2つ目は、栄養価が高くおいしいこと。旬のものを新鮮な状態でお渡しすることができるので、栄養価が高く、また、無農薬や減農薬、自然栽培や、JGAPという日本の農家基準を満たしていたりと、安心の生産者様と取引をしているので、美味しいだけでなく、安心、安全な食材です。
3つ目は、買い物によるコロナ感染リスクの軽減です。あらかじめ、商品を予約いただくことで、到着した際に車から降りずにドライブスルーにて商品の受け渡しをできます。また、一般的な流通に乗らない、皇室献上農家さんや、農林水産大臣賞の受賞農家さん等の希少な商品も取りあつかっているので、利用の価値ありです。
まとめになりますが、今回のコロナ騒動で、私をはじめスタッフ全員で自社を見つめ直す良いきっかけとなりました。また、スタッフの新たな可能性や、会社への帰属意識などに救われていることを再確認できたいい機会とし、今後も邁進していきたいと考えております。また、通常通り営業できる幸せや、長らくお会いできなかったお客様とお会いすることができることが当たり前ではなくありがたいことなのだと強く感じました。
今後ともみんなで楽しく、お客様に少しでも楽しく過ごしていただけるよう、精進していきますので今後ともよろしくお願いいたします。
末筆になりますが、乱文乱筆でございましたが、最後までご一読いただきまして本当にありがとうございました。